●モッズとジャズ
50年代後半のモダニスト達は、モッズの語源にもなったように
モダン・ジャズを好んで聴いていたと言われている。
きっとイギリス内でそれまで人気のあった
トラッド・ジャズに対する反動もあったかと思う。
モダン・ジャズの中でもモダニスト達に好まれていたのは、そのテの本を読むと
モダン・ジャズ・カルテットやチャーリー・ミンガス、
デイヴ・ブルーベック、あたりの名前がよく出てくるが、
どうもいまひとつこれが主流だっていうのが見当たらない。
きっと、まだモッズが流行る前のモダニスト達は情報も少ない中で、
自分の耳とセンスだけをたよりにそのサウンドを聴き分けていたのだろう。
またモダン・ジャズといえば帝王マイルス・デイヴィス。
その圧倒的に知的な匂いがプンプンと漂ってくるサウンドは、
間違いなく当時のモダニストを惹きつけたに違いない。
邦題「クールの誕生」なんていう、モッズの誕生を予言するような
アルバムがあるが、その発売が1949年とちょいと時代が早すぎる。
時代的にはプレスティッジ時代が好まれたか、
または至高のクール・サウンド、「Kind Of Blue」あたりは今聴いても強烈。
60年代に入るとモータウンの登場などで主流はR&Bになるが、
定番「In The Crowd」をインスト化したラムゼイ・ルイス・トリオや
ジミー・スミスやジミー・マクグリフなどのオルガン・ジャズ。
そしてモーズ・アリソンなんてところが人気があったらしい。
しかし恐らく、当時のモッズ達はこれらをジャズとしてよりも
インストR&B的な感覚、もしくは特にジャンルを意識せずに
「Green Onion」で有名なBOOKER T & THE MG'Sと
同一のニュアンスでとらえていたような気がします。